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ランナーの方に向けたご案内です。
Ⅰ 標準予防策(スタンダード・プリコーション:Standard Precautions)
院内感染予防の標準対策として、1996年にアメリカ疾病管理予防センター(CDC)が提唱したものです。
病原微生物の感染源確認の有無にかかわらず,汗を除く全ての体液、血液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚、粘膜は感染の危険性があるものとして扱います。
1.手洗い:
感染源となりうるものに触れた後、手袋を外した後、つぎの患者に接するときには手洗い、手指衛生を行う。
2.予防具:
1)手袋:感染源となりうるものに触れるときには手袋を着用する。
2)マスク・ゴーグル・フェイスマスク:目・鼻・口を汚染する恐れのある場合に着用する。
3)ガウン:衣服が汚染される恐れのある場合に着用する。
汚染した器具は,粘膜・衣服・環境を汚染しないように操作し、適切に移送・処埋する。
Ⅱ 身体的距離の確保(フィジカル・ディスタンシング:Physical distancing)
他の人と物理的距離を保つことで、世界保健機関(WHO)が提唱しました。密閉・密集・密接を避ける行動として、ソーシャル・ディスタンシング:Social distancing という言い方も用いられます。
〇新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現況
国立感染症研究所の『新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報;発生動向の状況把握』(2024年第2週(1月8日~1月14日)によると、2024年第2週における定点当たり報告数は前週に比較して増加しています(下図)。
新型コロナウイルス感染症の位置づけは2023年5月8日から「5類感染症」になりました。しかし、実情は上記のように猛威をふるっています。
1.ワクチンの有効性について
新型コロナウイルス感染症の重症化等の予防を目的として接種します。
(「東京都福祉保健局 新型コロナワクチンの有効性・安全性」より)
2.ブレークスルー感染
ワクチンを接種した後でも感染する可能性があり、それを「ブレークスルー感染」と呼びます。(「厚生労働省 新型コロナワクチンについて」より)。
3.不顕性感染
細菌やウイルスなど病原体の感染を受けたにもかかわらず,感染症状を発症していない状態をいう。病原体を排泄し感染源となる可能性が高いので疫学上問題となる。
(「日本救急医学会 医学用語解説集」より)
以上から、ワクチン接種後にブレークスルー感染を起こし、不顕性感染となっている人が身近にいる可能性があります。その様な人が感染源となり感染が広がることも想定されます。この様な感染を防ぐには、各個人の感染予防策が重要です。引き続き、マスクを含めた感染予防策を心がけてください。
生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられる疾患の総称で、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症などがあります。また、癌、脳血管疾患、心臓病も生活習慣との関わりが強いとされています。しかし、それらの中には生活習慣によらないものもあり、自己判断は禁物です。
従来は生活習慣病といえば40歳代から60歳代の中高年の人がかかるものだとされていましたが、最近は生活習慣の変化によって20代の若者やそれ以下でも生活習慣病を発症するケースが見られます。
肥満はすべての生活習慣病のリスクをあげると考えられています。肥満と生活習慣病を複合した状態をメタボリックシンドロームといいます。その基準は次の通りです。
腹位(へそ周り)が男性85cm以上、女性90cm以上、それに加えて、
1.脂質異常
2.高血圧
3.高血糖
のうち2項目以上があてはまる方。
腹囲(へそ周り):立った姿勢で軽く息を吐いた時に、臍の高さで測定します。
1.脂質異常
中性脂肪 150mg/dl以上
HDLコレステロール 40mg/dl未満 のいずれかまたは両方
2.高血圧
最高(収縮期)血圧 130mmHg以上
最低(拡張期)血圧 85mmHg以上 のいずれかまたは両方
3.高血糖
空腹時血糖 110mg/dl以上
高血圧で降圧薬を飲んでいる方は、その種類によって心拍数が減少し、心拍数による運動強度の設定ができないことがあります。 糖尿病治療薬を飲んでいる方は、運動により低血糖になる可能性もあります。内服中の方は主治医にご相談ください。
医療機関でのアドバイスや治療を受けたら、あとは「健康習慣」(前項)を心がけましょう。ただし、症状がコントロールできていない場合は治療を優先してください。マラソンの練習や大会参加には常に注意が必要です。特に大会当日、無理をして重大なトラブルが発生しないようにしましょう。
高温環境で発生する障害の総称です。スポーツの中では、皆さんの関わるランニング時に多く見られます。その字の通り、『熱に中(あた)る』、つまり、『熱により体に害を受ける』ということですが、これは気温だけの問題ではありません。湿度、直射日光、風などの他に、着ている服装、走る速さや時間、水分摂取、暑さに対する慣れなども要因になります。気温が高い時期の練習では、ランナーの皆さんは特に注意が必要です。
総務省の発表によると、2023年(令和5年)7月の全国における熱中症による救急搬送人員は36,549人でした。7月の調査を開始した2008年以降7月として最も多い搬送人員となった2018年に次いで、2番目に多い搬送人員となりました。
(2023年8月28日 総務省消防庁・報道資料より)
a) 日本救急医学会熱中症分類2015 より抜粋
I 度の症状が徐々に改善している場合にのみ、現場の応急処置と見守りでOK
II 度の症状が出現したり、I 度に改善が見られない場合、すぐ病院へ搬送する
(周囲の人が判断)
III 度か否かは救急隊員や、病院到着後の診察・検査により判断される
(日本救急医学会熱中症分類2015 より抜粋)
(環境省「熱中症 環境保健マニュアル2018」より抜粋)
1.水分補給
暑い時にはこまめに塩分の入った水分(スポーツドリンクなど)をとることが大切です。補給する水分の組成としては0.1~0.2%の食塩を含んだものが適しています。市販の飲料を選ぶ場合は成分表示を見てください。100ml中にナトリウムが40~80mg入っているものがいいでしょう。たとえば、ポカリスエット、アミノバリュー、エネルゲンには100mlあたり49mgのナトリウムが入っています。
2.飲水休憩
気温の高いときには飲水休憩をとって、体温の上昇を抑えるようにしましょう。
3.ウエアの工夫
運動の際のウエアも重要です。素材によって含気性、通気性、保温性、吸湿性、放湿性などが異なります。走る時の天候に合わせて、気に入ったものを何種類か準備しておくといいでしょう。
4.体重減少に着目
水分が失われて体重が2~3%減ると、運動能力や体温調節能力が低下し、熱中症になる可能性が出てきます。日本体育協会では、適切に水分を補給し、体重減少が2%をこえないように推奨しています。普段の練習でも、体重の変化に意識してみましょう。また、大会前には塩分摂取を少し増やしましょう。
熱中症の予防としてはスポーツドリンクが有効ですが、軽度から中等度の脱水状態になってしまった場合は、経口補水液OS-1が適しています。スポーツドリンクよりは電解質濃度が高い組成になっています(ナトリウムは100mlあたり115mg、カリウムは100mlあたり78mg)。
ただし、OS-1にはナトリウムとカリウムが比較的多く含まれているので、疾患をお持ちの方はかかりつけの先生へご相談ください。
「暑さ指数」という指標があります。環境省熱中症予防情報サイトでは、2012年6月からこの指数が公開されています。日本体育協会は熱中症予防のための運動指針を示しています。
【熱中症予防運動指針】
「水中毒について」 ・・・水中毒をご存じですか? 水の飲みすぎにも注意!!
水は摂ればいいというものでもありません。水のとり過ぎにも注意です。大量に汗がでた時には、水だけを飲むと血液の塩分濃度が下がり、発汗量に見合った量の水を飲めなくなることがわかってきました。これを自発的脱水と呼んでいます。それでも、熱中症を心配して水だけを飲み過ぎ、塩分の補給をしないと血液中のナトリウム濃度がさらに低下してしまいます。これが“水中毒”の状態です。めまいや吐き気、息切れ、手足のむくみがみられ、重症の場合は頭痛(脳の膨張による)、意識障害をおこします。極度の水中毒になると昏睡状態に陥り、致命的になることもあります。水中毒の報告は近年急激に増えています。
1.適切な水分をとる
①塩分:水分の組成としては0.1~0.2%の食塩を含んだものが適しています。市販の飲料を選ぶ場合は成分表示を見てください。100ml中にナトリウムが40~80mg入っているものがいいでしょう。たとえば、ポカリスエット、アミノバリュー、エネルゲンには100mlあたり49mgのナトリウムが入っています。
②糖分:運動量が多い場合は糖分も補給しましょう。4~8%の糖分を含んだものがいいでしょう。
③飲む量:決められた量の水を無理に飲み続けることは避けた方がいいでしょう。喉のかわきに応じて適宜水分を補給すると、摂りすぎにならないようです。
④体重に注目:普段の練習の前後で体重を計ってみてください。練習の後に体重が増えているようなら水分を摂りすぎです。次回の練習では水の量を減らしてみましょう。レース中に汗の量や体重を測定するのは困難ですから、普段の練習の時に、ランニング前後、ランニングの途中などに体重の測定も行うようにして、水分補給についても練習をしてみてください。
2.適切に塩分をとる
①大会前の食事
汗を多量にかく方、特にシャツが白くなる方は汗に塩分が多く含まれている方です。大会の数日前から少し塩分を多めにとりましょう。また、当日の朝食は必ず食べましょう。
②塩飴
レースで4時間を超えそうなランナーの方は、「塩飴」を持参し途中でなめるといいでしょう。東京マラソン大会当日は、救護所に若干の「塩飴」を配備しています。不調のランナーにはお分けすることもできますが、数には限りがありますのであらかじめご了承ください。
3.ただし、心疾患、腎疾患の方は注意
医師から塩分の制限を指示されている方は、塩分の取り過ぎにも注意しなければなりません。自分で判断せずに、かかりつけ医に相談してください。
4.痛み止めの薬を飲んでいる方へ
非ステロイド系の抗炎症薬(イブプロフェンなど)を飲んでいる人は、水中毒になる可能性が高くなるという報告があります。薬剤が腎臓の機能を低下させるためと言われています。内服薬を飲んでいる方は特に注意が必要です。
水分摂取は、少なければ脱水症になり、多すぎると水中毒になるという、その適量のバランスを保つのはなかなか把握しにくいものです。普段の練習の段階で、体重変化を意識した水分のとり方を考えてみてください。
血液中の赤血球やヘモグロビンの濃度が減少することで、それに伴って様々な症状がでます。 貧血はパフォーマンスの低下に直結しますので、予防と早期発見が大切です。また、貧血の原因として、胃、大腸、子宮の病気などがある場合もあります。健康管理の上では大変に重要な問題です。スポーツ選手において貧血は頻度の高い疾患です。ランナーは年に2~3回は血液検査を受けて、自分の赤血球やヘモグロビン濃度を知っておきたいものです。
急にフラッとなってしゃがみこんでしまったり、一時的に意識を失うこと(失神)は、起立性低血圧や血管迷走神経反射などが原因であることが多く、貧血とは別の病態です。
激しい運動を継続的に行うことによって貧血になる状態をいいます。種目別では、マラソン、長距離走、剣道、体操、バレーボールなどの激しいスポーツに多くみられることがあります。女性は男性に比べて3倍の頻度で発症するといわれています。スポーツで引き起こされる貧血の多くは次の3種類です。
1.鉄欠乏性貧血
最も多くみられるタイプです。ヘモグロビンが働くのに必要な鉄分の不足によります。激しい運動、筋肉量の増加による鉄の需要の増加、発汗の増加による鉄分の排泄増加が原因です。また、日常生活で食事による鉄分の摂取が不足したり、潰瘍、痔、月経などの出血などでも鉄欠乏性貧血をきたします。
2.溶血性貧血
体内で赤血球が破壊されることによります。足の裏を地面に強く踏みつけることで、毛細血管内の赤血球が破壊されるためと考えられます。労作性溶血、 footstrike hemolysis、行軍ヘモグロビン尿症としても知られています。鉄分が尿中に多く排泄されるようになりますので、やはり鉄欠乏性貧血になります。
3.亜鉛欠乏性貧血
食事からの摂取不足や吸収不良による亜鉛の欠乏、汗や尿からの亜鉛の排泄により赤血球産生障害をきたし、亜鉛欠乏性貧血がみられます。
(その他に、再生不良性貧血、出血性貧血などがありますが、ここでは割愛させていただきます。)
症状は多彩です。一般的には、皮膚の蒼白、顔色の悪さ、めまい、立ちくらみ、頭痛、動悸、むくみ、疲労感、舌や口元の荒れ、集中力や記憶力の低下、爪の変形などと内科の教科書には記載されていますが、ランナーの場合、疲れやすい、練習についていけない、記録が低下した場合なども貧血が原因であることがあります。
1.生活での予防
1)運動量の調整
貧血がある場合は練習量を減らし、回復状態により徐々に練習量をふやしてください。オーバートレーニングという別の病態に陥ると、血液検査をしても異常はありませんが、貧血のような症状がでます。
2)溶血への対処
軟らかい走路を利用し、クッション性の高いシューズを着用して、足への衝撃を和らげるようにしましょう。
3)睡眠時間
睡眠時間を充分とり規則正しい生活をしましょう。不規則な生活は貧血の原因になることがあります。
2.食事での予防
1)バランスのいい食事をとる
2)鉄分の多い食事をとる (鉄分には2種類あります)
・ ヘム鉄:ヘム鉄を含む動物性食品の方が鉄の吸収率が高い(吸収率20%前後)ことが知られています。
レバー類、牛モモ肉、あゆ、あさり、しじみ、いわし、かつお、まぐろ、さんま、ししゃも、煮干しなど
・ 非ヘム鉄 (吸収率 数%)
ひじき、大豆・凍り豆腐、納豆、きなこ、ゆば、豆乳、味噌、ほうれん草、小松菜、切干大根など
3)ビタミンをとる
・ ビタミンC : 一緒に摂ると鉄の吸収率が上がります。これはヘム鉄、非ヘム鉄ともに効果があります。
・ ビタミンB12と葉酸 : 正常な赤血球を作るために必要です。
ビタミンB12を多く含む食品 ・・・ 牛レバー、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズなど
葉酸を多く含む食品 ・・・ 牛レバー、豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリーなど
4)亜鉛の多い食事をとる
牡蠣に特に多く、豚レバー、牛肉にも比較的多く含まれています。
5)1日3食、規則正しくとる
偏食、減食、欠食は改めましょう。必要以上のダイエットや「朝食ぬき」もよくありません。
上記の予防策をとっても貧血と思われる症状が改善しない場合は、一度医療機関で相談してみてください。まずは内科を受診することをお勧めします。
12月から3月はインフルエンザの流行シーズンです。感染力が強く、短期間で爆発的に流行することもあり、注意が必要です。下のグラフをみると、すでに流行シーズンに入っていることがわかります。
2024年の数値はグラフでは一見低くみえます。しかし、国立感染症研究所によると、本シーズン(2023/24シーズン)も新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、医療機関への受診行動等が2019/20シーズン以前と大きく異なることが想定されます。そのため、推計受診者数の解釈としてはあくまで参考値とすることに留意が必要である、とされています。
インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(2024年1月26日)
国立感染症研究所・発表データより
厚生労働省は、他の人への感染を防ぐため、「咳エチケット」をキーワードとした普及啓発活動を行い、マスクの着用や人混みにおいて咳をする際の注意点について呼びかけています。
● 咳・くしゃみが出る時は、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。マスクを持っていない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
● 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、 手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗いましょう。
●咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。
(厚生労働省 平成27年度 今冬のインフルエンザ総合対策について より)
インフルエンザは突然の高熱から頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強くみられます。普通のカゼと見分けがつきにくいこともあります。インフルエンザでも高熱にならないこともあります。
1.飛沫感染
感染している人の「せき」「くしゃみ」などによって放出されたウイルスを吸い込むことによって感染します。くしゃみをした場合、そのしぶきは約2メートル飛び散ります。
2.接触感染
ウイルスが付着したものに触れて、口や鼻の粘膜、目の結膜などから感染します。感染している人の唾液や鼻水が手から手、ドアノブ、手すり、電気のスイッチ、つり革、便座などを介して付着して感染します。
3.空気感染
飛沫の水分が蒸発して乾燥し、ごく細かい粒子(飛沫核)が長い間空中に浮遊します。感染している人と同じ空間にいる人がこのウイルスを吸い込むことにより感染が起こります。空気が低温で乾燥しているとウイルスは空気中に長く浮遊し続けるので、空気感染が起こる可能性があると考えられます。
高齢者、幼小児、妊婦、糖尿病あるいは呼吸器・心臓・腎臓に慢性疾患を持っている方は「ハイリスクグループ」といい、感染してしまうと重症化するおそれがあります。特に高齢者は典型的な症状が出ないことがあり、要注意です。
インフルエンザにかかった幼小児は解熱剤に注意しなければいけません。インフルエンザ脳症が重症化して死にいたることがあるからです。医師から処方された薬以外は服用しないようにしましょう。発熱時には、アセトアミノフェンが良く用いられます。ジクロフェナクナトリウム製剤、メフェナム酸製剤には注意が必要です。
1.予防接種(ワクチン)
感染を抑えることはできませんが、症状を軽く抑える効果が期待できます。
2.感染経路の対策
人混みや繁華街への外出を控えましょう。
外出時にはマスクをつけましょう。
外出後には手洗い、うがいをしましょう。
手を洗ったあとのタオルは共有せず、個人専用とするか、ペーパータオルを使いましょう。
3.抵抗力をつける
睡眠と休養をじゅうぶんとりましょう。
バランスよい食事をとりましょう。
健康習慣を心がけましょう。
4.温度と湿度
室内では加湿器の利用も考えてください。「空気感染」の項でも書きましたが、ウイルスは低温、低湿だと空気中に長く浮遊し続けます。室温を20度以上、湿度を50%以上に維持するとウイルスの生存率は低くなります。ただし、高温、高湿はカビの原因になるので注意が必要です。
1.抗インフルエンザ薬。
この薬は、熱が出てから48時間以内に開始すると有効です。医療機関に行く場合、事前に電話などの連絡をしてから受診してください。
2.人にうつさないように
発症後1週間は、人が集まる場所には行かないようにしましょう。
人に会う時はマスクをしましょう。
家族への感染防止に努めましょう。
(別の部屋で過ごす、マスクをする、看護の後に手を洗う、など)
3.療養
安静にして休養しましょう。また、水分補給をして脱水にならないようにしましょう。尿量が少なくなったら脱水症状をおこしている可能性があるので注意してください。
4.マラソンの練習
練習は体調がもどるまで休みましょう。自分の症状を悪化させないため、そして人への感染を防ぐためです。
5.大会当日
インフルエンザにかかってしまったら、勇気をもって棄権しましょう。無理をして重症化したら大変です。また冬はインフルエンザの流行時期です。大会に集まった人にうつしてしまう可能性があります。
ノロウイルスは感染性胃腸炎や食中毒の原因になります。冬はノロウイルス食中毒の発生が多い時期です。また、年間の食中毒患者数はノロウイルスによるものが一番多く、約半数を占めています。
(厚生労働省・食中毒統計調査より)
通常、激しい吐き気、おう吐、頻回の下痢、腹痛、微熱が1~2日続きます。感染しても症状のない場合や、軽い風邪のような症状のこともあります。
1. 食品から感染
感染した人が調理した食品、感染した人により汚染した食品、ウイルスの蓄積した加熱不十分な二枚貝などを食べることによる経口感染が多いと考えられています。
2. 人から感染
・ 感染した人の便や、吐いたものから手などを介して感染します。また、吐いたものが乾燥して空中に漂って感染することがあります。
・ 家庭や施設内でヒト同士が接触して直接感染をおこしたり、飛沫による感染をおこします。
1.帰宅時、食事の前、トイレのあとには手洗いをしましょう。
2.加熱 加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱しましょう。
3.調理する人の健康管理を行い、また、手洗いを励行しましょう。
4.調理器具を消毒しましょう。
1.吐物、便の処理に注意
使い捨てガウン、手袋、マスクを使用して対応しましょう。床などにこぼれたものは乾燥する前にペーパータオルなどで拭き取り塩素消毒をします。吐物、便はビニール袋に入れて密封し、できれば塩素液を入れます。塩素消毒は家庭用のハイターを希釈して用います。
2. 患者さんが使用した食器、リネン、環境など
食器、衣類、リネン、カーテン、ドアノブなどは塩素液などで消毒します。
抗ウイルス薬がないため、対症療法を行います。脱水症状をおこしたり体力を消耗しないように、水分と栄養補給を行いましょう。尿量が少なくなったら脱水症状をおこしている可能性があります。症状が強い場合は、医療機関の受診をお勧めします。いわゆる「下痢止め薬」は回復を遅らせることがあるので使用しないほうがいいでしょう。
大会中の傷病で、冬季に注意しなければいけないのが「低体温症」でしょう。低体温症は命に危険を及ぼす可能性があります。
冬期のマラソン大会で、疲れて途中で走るのをやめた状態を想像してみてください。走るのをやめると熱産生が減少します。冬の低い気温、汗でぬれたウエア、薄着、さらには風、雨、雪のような天候が加われば、熱が一気に逃げてしまい、容易に低体温症になってしまうことは明らかです。
日本救急医学会によると、「深部体温(直腸温,膀胱温,食道温,肺動脈温など)が35℃以下に低下した状態」と定義されています。原因としては、①寒冷環境,②熱喪失状態,③熱産生低下,④体温調節能低下など、これらが単独あるいは複合して発症する、とされています。
表2に低体温の分類を示します。
表2 低体温症の分類
東京マラソンでの低体温症例
図に東京マラソンでの各回の低体温症の発生数を示します。特に、2010年の第4回大会はスタート後に気温が低下し、みぞれという悪天候もあり、236人が低体温症になりました。
図 東京マラソンでの低体温症例数
【低体温症の予防(走る前)】
1.暖かい服装
ペースの遅いランナーの方は、2時間台で走るエリートランナーのような軽装で走るのはやめましょう。スタートでは少し厚着をすることをお勧めします。スタート前にウォーミングアップをしても、スタート前の待ち時間で体を冷やしてしまうことがあるからです。
2.着替え
天気予報も参考にしてください。スタート後に気温が低下すると想定される時は、途中で上から羽織れるように、一枚余分にウエアを持っていくといいでしょう。気温や体調によって着たり脱いだりできるように、着脱しやすく、また脱いだあとも簡単に携行できるような服装を選んで準備しましょう。 *ただし、脱いだウェアをコース中に捨てるのはやめましょう。後から来るランナーのケガのもとになります。
3.タオル
濡れた体を拭くタオルも準備しておくといいでしょう。
【低体温症の予防(走っている時、走るのをやめた時)】
自分自身で行うのも重要ですが、付き添い、観客、大会スタッフの方も低体温の予防にご協力ください。
1.体を拭く
身体が濡れたままの状態だと、低体温症になりやすくなります。可能なら乾いたタオルで体を拭きましょう。大会主催者側の準備としては、選手ごとに布タオルを準備するのは効率がよくありません。大きめのペーパータオルを準備することをお勧めします。常に乾いた新しいタオルで体を拭くことができます。
2.着替え
汗でウエアが濡れている場合や、雨で体が濡れている場合などは、いくら体を拭いても、効率が悪いものです。できれば乾いた服に着替えましょう。大会主催者側の準備としては、すぐに選手の荷物を引き渡せるような準備や、手順を決めておくといいでしょう。
3.冷気を避ける
冷たい風に当たると、体温が奪われていきます。風を避けられるところに入りましょう。
4.暖かい飲み物、食べ物
暖かい飲料や食事を摂りましょう。食事は熱産生を促します。また暖かい飲料は脱水症対策にもなり、一石二鳥です。
5.暖房
保温だけでは体温の低下を防げないこともあります。可能なら暖房器具のある所で休みましょう。
【低体温症の処置、119番の目安】
1.軽度
全身が震えているランナーがいたら、すでに軽度の低定温症(35℃から32℃)になっている可能性があります。前項「低体温症の予防」を行うことで回復が望めます。
2.中等度以上
低体温の症例は、重篤な不整脈に移行して心停止を起こす可能性があります。つまり、命に危険を及ぶすことがあるので、速やかな救急要請が必要です。
体の震えに加えて,意識が低下している(会話がかみあわない、呼びかけても返答しない)場合や、震えていた人の震えが弱くなった場合などは、中等度以上の低体温症(32℃以下)になっている可能性があります。この場合は119番通報をお願いします。
電気的障害による損傷を電撃傷といます。屋外でのスポーツでは、落雷による被害が報告されています。感電により重症不整脈で死に至ることもあり、死に至らないまでも、やけどや外傷を負うことがあるので、雷には注意が必要です。
雷は、周囲より高いものほど落ちやすいという特徴があります。グラウンド、広場、平地、山頂、尾根等の周囲の開けた場所にいると、人体に直接落雷することがあり、直撃雷を受けると約8割の人が死亡すると言われています。また、落雷を受けた樹木等のそばに人がいると、その樹木等から人体へ雷が飛び移ることがあるので、高い木の下で雨宿りをするのは危険です。(「雷から身を守るには」(日本大気電気学会編集)より)
外出する際は、事前にテレビ、ラジオ、インターネット等で天気予報と雷注意報を確認しましょう。良い天気が急変して突然の雷雨になる原因は、「積乱雲」という雲です。屋外では、気象情報をこまめに確認しつつ、空の変化には常に注意を払い、積乱雲が近づくサインを見逃さないことが大切です。
1.雷鳴が聞こえたらすぐ避難
雷の音がしたら、すでに危険な状況です。自分のいる場所にいつ落雷してもおかしくありません。
2.建物の中や自動車へ避難
建物や屋根付きの乗り物(自動車)へ避難しましょう。
3.木の下は大変危険!
木のそばにいると、木に落ちた雷が人に飛び移ることがあります。 木の下での雨宿りは大変危険です。絶対に止めましょう。
(気象庁・ウェブサイト「急な大雨や雷・竜巻から身を守るために」より)