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担当:喜熨斗智也(救急救命士)

第2回 心肺蘇生の効果

心肺停止の時間と救命率の関係

前回はマラソンと突然死の関係についてお伝えしましたが、突然に心臓が止まってしまった場合、5分以内に心肺蘇生法を開始することが重要です。
心臓突然死の原因の多くを占める「心室細動」は、放置すると1分間に約10%ずつ救命率が低下していきます。
119番通報をしてから、救急車が現場に到着するまで平均10.3分かかります。この間に心肺蘇生法を実施しないと、助かる見込みはとても少なくなってしまいます。

一度心臓が止まった人を救命するためには、その場に居合わせた人(バイスタンダー)が、「倒れてから短時間で発見する」「倒れてすぐに心肺蘇生の処置を行う」という短い時間の中での対応が非常に重要になります。
すぐに心肺蘇生法が行われると、その効果は非常に大きくなります。救急隊が到着する前にバイスタンダーにより心肺蘇生が「実施されていなかったケース」に比べて「実施されていたケース」は2.8倍救命率が上がり、心肺蘇生法に加えてAEDが使われると10.5倍も救命率は上昇します(図1)。

図1:市民による心肺蘇生・AED実施の有無と救命率の比較

(参考:総務省消防庁「令和2年版 救急救助の現況」)

心臓が止まってしまった場合は時間が勝負で、心臓が止まってから5分以内に心肺蘇生が実施されるか否かでその命運は大きく分かれると言われています。
万が一、目の前で倒れたランナーを発見した場合は、その場に居合わせた方の勇気ある行動が救命のカギになります。
次回は心肺蘇生の方法についてお伝えします。

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