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ランナーの方に向けたご案内です。
ドーピング禁止物質を掲載している「禁止表国際基準」は毎年1月1日に新しいものに改定されます。そのため、スポーツドクターは最新の情報を入手して、アスリートやコーチなどに伝える必要があります。今まで禁止されていなかった物質が禁止リストに載ることがあります。またTUE(治療使用特例:病気の治療を目的として禁止物質に該当する薬品を使用するための手続き)が必要であった禁止物質を一般的な治療に用いる量の使用であれば、TUEなしに用いることが出来るようになる場合もあります。
2020年末まではTUEが必要とされた気管支喘息吸入治療薬のビランテロール(含有する製品名はレルベアⓇ、テリルジーⓇ)は、2021年1月からは一般的な治療量であればTUE申請が不要となりました。
禁止物質ではありませんが、監視プログラムに属する物質も記載されています。監視物質は検出されてもアンチ・ドーピング規則違反となりませんが、濫用の程度が把握されています。これを基にして、将来の禁止表改定に反映されます。カフェインは以前から監視物質の1つとして定められています。監視物質の濫用の程度と競技能力向上などの観点から将来的に検討が行われるものと思われます。このような検討の結果、監視物質から禁止物質に移行した物質もあります。2015年に監視物質に掲載されたメルドニウム(日本未発売)という物質は、2016年には禁止物質に変更となりました。2016年になって、メルドニウムによるドーピング違反事例が増加したのは記憶に新しいことでしょう。また、のど飴の種類によって禁止物質が含まれているものとそうでないものがあるので、正しい情報を入手する必要があります。
数年前に日本国内でも話題となった静脈内注入(いわゆる注射)については、「12時間あたり100mlを超えない」ということが明文化されています(もちろん注入する液体に禁止物質が含まれてはいけません)。
私たちにはこのような情報をより多くのアスリートや関係者に伝える必要がありますが、ドーピング検査を受けるレベルのアスリートや指導者も積極的に情報を入手するように教育啓発活動を行っていくことも重要です。もちろん皆さんのような一般市民ランナーのアンチ・ドーピングに対する関心が高まることも忘れてはならないことだと考えています。