ランナー

ランナーの方に向けたご案内です。

トレーニング情報

フィニッシャーズメダルをめざして

担当:加藤基(日本体育協会公認アスレティックトレーナー)

第2回 ランナーの身体づくり

ランニングは左右交互にジャンプと着地を繰り返す運動です。1回1回の負荷はそれほど大きくはありませんが、繰り返すこと大きな負担が足や膝・股関節にかかっています。その負荷に耐えてトレーニングを継続するためには、十分な筋力が必要です。
また、ランニングに重要な能力は「持久力」であることをご存じの方が多いと思いますが、ある程度トレーニングを積むと持久力の向上が頭打ちを受けることがわかっています。その伸び悩んでいる状況を打破するためにはスピードアップに繋がる筋力トレーニングが有効です。
「ランナーが筋トレしたら体重が増えてしまう」、「怪我をしやすくなる」といわれることがありますが、実際にそのような悪い影響はほとんどないといわれています。方法と量や頻度に注意してぜひ実施してみてください。

『脚作り』に有効な補強トレーニング

1)スクワット:(図1)

・脚全体の筋力を強化します。
−1 手を前方に伸ばして、お尻を後ろに引くようにしてしゃがむ
−2 立ち上がる。
目安:10回×2セット。週に1、2回。

2) ランジ:(図2)

・脚全体の筋力を強化します。
−1 片脚を前に踏み出し、腰を落とす。
腰を落としたときには上半身が両足の間にくるようにする
−2 その状態からもとに戻る。
目安:10回×2セット。週に1、2回。

3) サイドランジ:(図3)

・脚全体の筋力を強化します。
−1 片脚を横に踏み出し、腰を落とす。
−2 腰を落としたときに肩が踏み出した足の上にくるようにする。
−3 その状態からもとに戻る。
目安:10回×2セット。週に1、2回。

図1

図2

図3

『スピードアップ』に有効な補強トレーニング

1)両足ジャンプ:(図4)

・強く早く力を出す能力を強化する。
−1 スクワットの姿勢から直上に跳び上がる。
−2 着地後スクワットの姿勢に戻る。
目安:8回×2セット。週に1、2回。

2) 両足ジャンプ・片脚着地:(図5)

・強く早く力を出す能力を強化します。
−1 スクワットの姿勢から、直上に跳び上がる。
−2 片脚で着地する。
注:負荷が非常に強いので、②1)に十分慣れてから行いましょう。
注:はじめは跳び上がるジャンプの高さを低めからはじめましょう。
目安:左右6回×2セット。週に1、2回。

図4

図5

『ランニング動作の洗練』に有効な補強トレーニング

ランニングは左右の脚及び体幹・腕が連動する非常に複雑な動きです。ランニング動作を洗練させるためには少し難しい動きを実施してみることが必要です。

1)ランジ・チョッピング・ステップ(図6)

・脚と上半身の連動性を洗練させます。
−1 片脚を踏み出し、踏み出した脚側に両手を合わせて手をあげる。
−2 後ろ脚をもも上げ状態にすると同時に、手を反対側の腰付近まで降ろす。
−3 片足立ちの状態でふらつかないようにする。
目安:左右6回×2セット。週に1、2回。

2)もも上げ踏み替え(図7)

・脚のスムーズな入れ替えを洗練させます。
−1 片脚をもも上げ状態にする。
−2 上げた脚を素早く下ろすと同時に、反対脚をもも上げし、素早く入れ替える
−3 即座に下ろした脚を上げて、はじめの状態に戻る
目安:左右4回×2セット。週に1、2回。

図6

図7

『コア』のトレーニング

近年、コア(体幹)のトレーニングは非常に注目されています。さまざまな種類のものがありますが、まずは以下にご紹介するもののなかから、自分にあうものをバランスよく実施してください。

スタビライゼーション(安定)系

ここでご紹介するものは一定の姿勢をキープし続けるものです。
はじめは10秒からはじめ、30秒程度楽にキープできるようになったら次のレベルのものに進みましょう。乱れた姿勢で長い時間行っても効果がないので、正しい姿勢で行ってください。

1)フロントプランク系(図8)

この種目は身体が反らないように、主に腹筋群を利用して姿勢を保つものです。
くるぶし、膝、おしり、肩が一直線になるように姿勢を保ちましょう。
レベル3以上をやっているときに身体をねじれてしまうときは時間を短くしてみましょう。
レベル1:肘 – 膝
レベル2:肘 – つま先
レベル3:肘 – つま先(片脚上げ)
レベル4:肘(片腕上げ) − つま先
レベル5:肘(片腕上げ) − つま先(片脚上げ)

2)ヒップリフト系(図9)

この種目は身体が曲がらないように、殿部および背筋群を利用して姿勢を保つものです。膝、おしり、肩が一直線になるように姿勢を保ちましょう。
レベル1:両脚
レベル2:片脚

3)サイドプランク系(図10)

この種目は身体が側屈しないように、体の側面の筋群を利用して姿勢を保つものです。足の間、膝の間、身体の中央、頚、頭が一直線になるように姿勢を保ちましょう。
レベル1:肘 – 膝
レベル2:肘 – 足

図8

図9

図10

ダイナミック系(動作)系

これ以外にいわゆる腹筋・背筋を実施してもよいでしょう。

トレーニングプログラムの例

ここまででご紹介したトレーニングメニューを日毎のプログラムにしました。どれをやったらいいのかわからないという場合はこちらを参考にして、交互に週1回ずつを目標にやってみてください。(表1)

表1

以上 ランナーにおすすめする筋力トレーニングのご紹介でした。

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