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ランナーの方に向けたご案内です。
感染症とはウィルスや細菌などの病原体が体内に侵入、定着し、増殖して発熱や下痢、咳等の症状が出ることをいいます。感染症にはウィルスがもとで発症するインフルエンザをはじめ、細菌、カビ、寄生虫などがもととなる感染症などがありますが、冬場は特にインフルエンザやノロウイルスが気になる季節です。東京マラソン本番に向けてしっかり走り込みたいこの時期ですから、特にインフルエンザ、ノロウイルス対策に焦点をあて、予防のための食生活についてふれていきます。
インフルエンザ、カゼ対策の基本は手洗い、うがい、マスク着用等、すでにご存知の通りです。さらに、食生活での留意点を上げるならば、とにもかくにもしっかり食べてしっかり寝ること、これに尽きます。理由は体力を高めるためです。身体に関わる体力にはおもに行動体力(体格、筋力、パワー、持久力など)と防衛体力とがありますが、ここでいう体力とは後者の防衛体力のことです。ウィルスや細菌に負けない構造を作り、体温調節機能を健全にし、免疫力やストレスに対する抵抗力を高めるためには、エネルギーを十分にとり、よく休むことが肝心です。防衛体力に自信のない方は、起床時刻、就寝時刻、食事時刻、食事量を見直しましょう。
冬の感染症の代表格といえるのがノロウイルスによる感染性胃腸炎です。ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。そのため予防対策を徹底することが大切です。まずは食事の前やトイレの後などは必ず手洗いをしましょう。消毒用エタノールではノロウイルスは失活しないため、せっけんと流水での手洗いが原則です。また、下痢やおう吐等の症状がある方は食品を直接取り扱う作業をしないようにしましょう。加熱が必要な食品はしっかり火を通すことが肝心です。特にカキなどの二枚貝はノロウイルスに汚染されている場合があるため、中心部までしっかり加熱して食べましょう。厚生労働省では、中心温度が85~90℃で90秒以上の加熱が望ましいと公表しています。
ビタミンAは目の健康を維持する、皮膚、粘膜の健康を維持するなどの働きがありますが、見逃せないのが感染症予防や免疫力を高める働きがあることです。また、ビタミンCには白血球の食菌作用を高めるなど、その抗菌作用については複数の論文から支持されています。そのため、感染症の予防にビタミンAやビタミンCを摂取することは有意義であるといえます。ビタミンA、ビタミンCはさまざまな食品に含まれますが、両者を豊富に含む食品にかぼちゃ、春菊などの緑黄色野菜があります。日頃より緑黄色野菜を十分に食べるようにしましょう。図1、2にはビタミンA、ビタミンCを豊富に含む食品の供給源をまとめました。参考にしてしっかり食べるようにするとよいでしょう。
お腹の中の細菌(腸内細菌)のうち、乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌の増加は整腸作用に貢献することが知られていますが、感染症予防にも役立ちます。これは善玉菌が腸管バリアの構成成分である抗菌ペプチドを増やし、ウイルスや細菌の侵入を防ぐためです。また、善玉菌の増加によって免疫細胞が活性化し免疫力が高まるためです。乳酸菌やビフィズス菌が含まれるヨーグルトを食べることで腸内の善玉菌が増加することは複数の報告から支持されているため、感染症予防には積極的にヨーグルトを食べると良いでしょう。なお、ヨーグルトの感染症予防効果を期待するには継続摂取が原則です。ある報告では毎日500gのヨーグルトを継続的に摂取したところ2週間で善玉菌の増加が見られ、摂取を停止すると2週間で元の状態に戻ったとされています。インフルエンザが気になる方はヨーグルトを食べる習慣をつけるとよいでしょう。