スタート時の天候は曇り、気温8.5度、湿度48%。それほど気温は上がらず、ランナーにとっては走りやすい条件下の開催となりました。
マラソン男子は、デソ・ゲルミサ(エチオピア)がモハメド・エサ(エチオピア)との激しい競り合いを制し、2時間5分22秒で初優勝を飾りました。2位のエサは同タイムでした。
ゲルミサは「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」の大会で初制覇となり、「東京で走ることは夢だった。神のご加護もあって、優勝できることができました。」と喜びを噛みしめました。
ペースメーカーの外れた30kmから先頭集団はけん制し合い、少しペースを落とした展開になりました。集団は37km付近で一気にペースアップし、10人程度から6人に絞られます。ラスト1kmを切っても大混戦の6人のままで、残り500㍍で4人となり、最後の曲がり角では三つどもえの大接戦に。直線に入り、ゲルミサとエサのデッドヒートとなり、ゲルミサがわずかにリードし、フィニッシュしました。「競り合いは非常に激しいものでした。相手(エサ)にはスピードがあると知っていた。簡単なことではありませんでした。」と振り返り、「また東京に戻ってきて走りたい。」と笑顔で語りました。
ツェガエ・ゲタウェウ(エチオピア)が2時間5分25秒の3位。2時間3分36秒の自己記録を持つシサイ・レマ(エチオピア)は25km過ぎで途中棄権しました。
日本勢は2選手が2時間5分台をマークするハイレベルなレースとなりました。3度目のマラソンとなる山下一貴(三菱重工)が日本勢トップの2時間5分51秒で7位に入りました。40km過ぎに大迫傑(Nike)を引き離し、日本歴代3位となる好記録をマーク。「(最後の角を)曲がるときに時計があって、(2時間5分)30秒と見えたので、これは5分台を出せるなと思って頑張りました。」とトレードマークの笑顔を浮かべました。其田健也(JR東日本)も日本歴代4位となる2時間5分59秒の8位でフィニッシュ。「順位としては満足していませんが、自己ベストを更新できたので、最低限の走りはできたと思います。」と好記録にも日本勢2番手となり、悔しさをのぞかせました。
また、東京2020オリンピックの後、一度は現役を退き、国内で約1年7カ月年ぶりのマラソンとなった大迫は2時間6分13秒の9位。パリ2024オリンピックの日本代表選考会として開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得しました。
女子はローズマリー・ワンジル(ケニア)が世界歴代6位となる2時間16分28秒で初優勝しました。前半からハイペースを刻み、ハーフを1時間8分14秒で折り返しました。後半になってもペースは変わらず、自己記録を1分32秒上回りました。両手を挙げて満面の笑みでフィニッシュし、その後も両膝を突いて、お辞儀を繰り返し、全身で喜びを表現しました。
日本には馴染みが深く、青森山田高を経て、昨年まで実業団の「スターツ」に所属していました。第二の故郷で見事な走りを見せ、レース後は日本語で記者会見に臨みました。「このタイムで走れるとは思わなかったです。30kmからも調子が良かった。」と振り返り、「走っているとき、すごい応援をしてくれていた。本当にありがとうございました。」と声援を送った日本のファンに感謝しました。
ツェハイ・ゲメチュ(エチオピア)は世界歴代8位となる2時間16分56秒の好タイムで2位。3位はアシェテ・ベケレ(エチオピア)で2時間19分11秒でした。
日本勢では、日本記録の更新を狙った松田瑞生(ダイハツ)が2時間21分44秒の6位に終わり、フィニッシュの後、「悔しい。」と涙を流しました。記者会見では「これからも挑戦し続ける姿を見せられるように、努力を続けたいです。」と今後も日本記録に挑む姿勢を示しました。細田あい(エディオン)は2時間22分8秒の7位、一山麻緒(資生堂)は2時間31分52秒の14位でした。