大会2日前となった2月28日(金)、東京マラソン2020プレスカンファレンスを行い、招待選手記者会見を行いました。
選手会見に先立ち、午前10時35分から主催者会見を行い、東京マラソン財団理事長の伊藤静夫の挨拶、同じく東京マラソン財団事務局長の大森文秋が今大会の説明を行いました。伊藤理事長から新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一般の部が中止になったことについて、以下のとおり説明いたしました。
「東京マラソンでは、2007年の第1回大会から、3万人以上のランナー、1万人以上のボランティアが集い、ランナーの皆様には『走る喜び』、ボランティアの皆様には『支える誇り』、選手に声援を送る皆様には「応援する楽しみ」ということで、『東京がひとつになる日。』をスローガンに掲げ開催してきました。また、もう一つの大きなテーマとして『安全・安心の大会運営』を目標に開催しています。
今年の大会開催においても、感染症拡大が伝えられる中、開催に向け感染症対策を様々に検討して参りました。しかし、日本国内においても市中感染という新たなステージに移行したところで、安全・安心の大会運営という立場から感染拡大を防止する意味で、今年の東京マラソンは車いすエリート、マラソンエリートのみの開催という苦渋の決断に至った次第です。エリート選手の皆様には走れなかった皆様の分まで思う存分実力を発揮し、走る姿が少しでも日本を元気にする事に繋がればと願ってやみません。」
車いすマラソン招待選手会見
その後、副島正純車いすレースディレクターが登壇し、「このコースは8月の東京パラリンピックのコースと一部重なる。パラリンピックの前哨戦になる。」と位置づけ、「最近コースレコードが伸びていない。ぜひ更新してほしい。」とエールを送った。コースレコードは男子が1時間26分00秒、女子が1時間41分04秒。優勝賞金は昨年までの100万円から200万円に上がっています。
招待選手である日本男子の鈴木朋樹、洞ノ上浩太、女子の喜納翼がそれぞれ意気込みを語りました。昨年世界選手権3位の鈴木は「表彰台は絶対に取りにいきたい。状況に適した対応で、積極的なレース運びができれば結果は出せる。」と自信をのぞかせていました。1時間20分52秒の男子日本記録を持つ洞ノ上は「前半の4~5㎞の下りが苦手。まずはそこをいかに耐えるか。先頭集団に食らいついていく。」とレース展開を思い描いているようです。1時間35分50秒の女子日本記録を持つ喜納は「スタートから全力でいく。周りのペースに左右されることなく、走れる限りいきたい。」と笑顔で語っていました。
恒例となっている目標タイムを問われると、鈴木は「1時間24分00秒。」、洞ノ上は鈴木を意識するかのように1秒上回る「1時間23分59秒。」、喜納は「1時間40分00秒。」と3選手ともコースレコードの更新を掲げ、高速レースを約束しました。
なお、感染症拡大の影響などを受け、エントリーしていた招待選手の男子3人、女子7人が出場を辞退しております。
マラソン招待選手会見
12時30分からマラソン招待選手の記者会見を行い、まずは女子のルティ・アガ(エチオピア)、ベルハネ・ディババ (エチオピア)、バレリー・アイヤベイ(ケニア)、ロナー・チェムタイ サルピーター(イスラエル)が壇に上がりました。
昨年覇者のアガは19年のベルリンマラソンで2時間18分34秒の好タイムをマークし、成長を遂げて東京に帰ってきました。「調子は良好。いい準備をしてきた。20日前に足を痛めたが治った。優勝できると思う。」と2連覇へ意欲をみせました。
東京で2回の優勝を誇るディババはコースを知り尽くしています。「東京は何度も来ている。優勝2回、2位も2回で、とても好きなコース。」と相性の良さを強調しました。
昨年フランクフルトマラソンを制したアイヤベイは東京初参戦。「今までのトレーニングはうまくいっている。自信がある。」と好調をアピールしました。
ケニア出身でイスラエル国籍のサルピーターは「メジャーマラソンは初めて。わくわくしている。自己記録(2時間19分46秒)を更新したい。」とレース本番を待ちきれない様子でした。
続いて男子の会見が行われ、ビルハヌ・レゲセ、ゲタネ・モラ、シサイ・レマのエチオピア勢に加え、大迫傑、設楽悠太、井上大仁の日本勢がそれぞれインタビューに応じました。
昨年、レゲセは雨の降る中、2時間4分48秒で優勝。昨年9月のベルリンマラソンでは世界歴代3位となる2時間2分48秒でフィニッシュしました。期待の25歳は「昨年より、今年の方が調子はいい。しっかりとした準備をしてきた。いい走りができると信じている。」と自信の表情で語りました。
モラは昨年1月のドバイマラソンで2時間3分34秒の初マラソン世界最高をマークした新星。「(ドバイと)どちらもコンディションはいい。でも、比べると、脚に故障があったので、ドバイの方がよりいい。でも、もう脚は治っている。」とレースに問題はなさそうです。
ベルリンマラソンで2時間3分36秒の自己記録をマークしたレマは「ベルリンも良かったが、ここでもいい走りができると感じている。友人たちと(日本に)来たが、日曜日は強力なライバルになる。」と東京五輪の代表争いをする、同じエチオピアのレゲセとモラへのライバル心をのぞかせました。
目標タイムは、レゲセが2時間3分30秒、モラが2時間3分55秒、レマは2時間2分00秒とした。驚異のタイムを掲げたレマは「昨年より気象条件がいい。参加選手たちもいい記録を持っている。一つは五輪のために、二つ目は東京で記録を書き換えてやろうと準備をしてきた。」と積極的に好記録を狙っていく姿勢を示しました。
日本記録保持者の大迫はエチオピア勢の目標タイムが聞こえていたが、「自分のペースでしっかり走れればいい。」と当日の気象条件やコンディションに合わせ、ペースを決めるつもりだと話しました。「いつもの大会と同じように誰よりも速く走ること。」と自らの走りに集中します。
前日本記録保持者の設楽は「調子は悪くない。まずは自分のレースができればいい。海外選手に食らいついていけるような走りをしたい。」と淡々と語りました。
2018年ジャカルタ・アジア大会王者の井上は目標タイムとして、「2時間4分30秒。」と書き込みました。日本記録を1分20秒上回るタイムに「今のところ、このへんを目標にやってきた。がちがちに(記録を)狙うわけではない。世界と戦う基準として頭に入れておくタイム。」と海外勢との対決を見据えていました。
日本男子は東京五輪の選考レースでありながら、「自分の力を出し切るだけ。」と過剰な意識はしていませんでした。
レース当日の天気は晴れときどき曇り。スタート時の気温は6~7度の予報になっています。