*オリジナルのリリースの正式言語は英語であり、この内容及び解釈については英語が優先となります。
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マラソンレビュー: ジョイシリン・ジェプコスゲイが初マラソンで歓喜
ジョイシリン・ジェプコスゲイは、自身のマラソンデビュー戦となった2019 TCSニューヨークシティマラソンで優勝し、レース前に優勝候補とされていたメアリー・ケイタニーに衝撃を与えました。
26歳のジェプコスゲイは2:22:38というタイムで優勝し、今世紀中にニューヨークでの勝利を収めた女子選手の中で最も若い選手となりました。しかし、その事実よりも印象的なのは、タフなコースとして知られるニューヨークを自身初となるマラソンの舞台に選んだことです。
ハーフマラソンの世界記録保持者である彼女は、この春、同じニューヨークにおいてUnited Airlines NYCハーフマラソンで優勝しており、ライバル選手たちの追い上げにも余裕があるように見えました。
アメリカのデジレー・リンデンがいち早く他選手に戦いを挑み、11マイル地点では13秒のリードを奪っていました。しかし最終的には、ケニアのジェプコスゲイとケイタニー、エチオピアのルティ・アガを含む東アフリカ勢の追い上げに屈し、飲み込まれてしまいました。
リンデンの勇敢なチャレンジは実を結ぶことなくレース前半を終え、次に苦しむことになったのは東京マラソン2019の優勝者アガでした。残り5マイルとなった頃にペースが落ち、37歳のケイタニーと、11歳年下の同国ケニアの選手、ジェプコスゲイとの一騎打ちとなりました。
ニューヨークで4度の優勝を収めており、昨年の大会では大差で圧勝を収めたケイタニーは、豊富な経験を活かし5度目の優勝を掴むと確実視されていましたが、ケニア・イテン出身のジェプコスゲイを振り切ることはできず、残すところ数マイルとなった時に決定的な動きを見せたのは、初マラソン挑戦者のジェプコスゲイでした。
23マイル地点で4秒差だった2人の差は24マイル地点では13秒差にまで広がり、ジェプコスゲイは、苦しい表情を浮かべながらもペースをキープしながらセントラルパークへ入り、観客の歓声を一身に浴びながら最後のストレートを走り抜け、AbbottWMM大会における主要選手であることを印象付けました。
男子レースでは、ディフェンディングチャンピオンのレリサ・デシサが5マイル地点を前に先頭集団から脱落してしまいました。エチオピアのデシサがドーハの世界選手権マラソンで勝利を収めてから1ヶ月も経っておらず、厳しいレースとなることは分かっていました。
デシサの脱落により、2017大会チャンピオンのジョフリー・カムウォロルに、優勝タイトルを再び奪還するチャンスが到来しました。
首位を奪還しようとするシュラ・キタタやブレット・ロビンソンの猛攻にも、ケニアのカムウォロルが動じることはありませんでした。
最終4マイルに入るころ、キタタが失速し始め、優勝争いはカムウォロルとタミラト・トラ、アルバート・コリル、そしてダークホースのGirma Bekele Gebreに委ねられました。
フィニッシュまで3マイルの地点でカムウォロルが仕掛けると、他の選手はこれに対応できませんでした。
苦しみにもがき始めていたコリルがなんとか2位に入り、エリートと同じ最初のウェーブからスタートしていないGebreが3位に入りました。
カムウォロルは終始ゆとりを感じる走りを見せ、勝利を収める瞬間を自分で選び、2:08:13でフィニッシュしました。
長らく、同じNNランニングチーム所属のエリウド・キプチョゲの後継者の有力候補に挙げられてきたカムウォロルを、フィニッシュラインでキプチョゲが称えました。
ニューヨークにおいて3年間で2度の優勝を収めたカムウォロルは、9月にハーフマラソンの世界新記録も樹立しており、周りからの大きな期待に応える実力を見せた形となりました。
※唯一の日本人選手として男子エリートレースに参加した竹ノ内佳樹選手の結果は8位(2:11:18)でした。
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車いすマラソンレビュー: ロマンチュクとシャーがニューヨークのタイトルを保持
ダニエル・ロマンチュクとマニュエラ・シャーが、対照的な勝利の収め方でTCSニューヨークシティマラソンの優勝タイトルを保持しました。
9月にAbbottWMMシリーズの初タイトルを手にしたロマンチュクは、早々にスイスのマルセル・フグからリードを奪い、比較的楽なレース展開になるかと思われました。しかし、20km地点を前に、ベテランのフグが21歳のロマンチュクの前に出ました。
これをきっかけに、中間地点前に設けられたスプリント勝負ポイントのボーナスポイント8点をかけた戦いが始まり、接戦を制したロマンチュクが誰よりも速くスプリントポイントのタイミングマットを通過し、ボーナスポイントを獲得しました。
2人の一騎打ちになると思われたレースですが、イギリスのデイビッド・ウィアーとロマンチュクのチームメイトであるアーロン・パイクが現れ、優勝争いは最終マイルまでもつれこみました。
パイクが最初に仕掛け、リードを奪いましたが、激戦での経験においてレースの知恵を蓄えてきたロマンチュクがベストな位置取りをして、最後のコーナーを曲がると同時に先頭に立ちました。
スピードを上げるロマンチュクにパイクはついて行けず、続いてウィアーも脱落しました。
フグだけがロマンチュクのすぐ後ろに付いていましたが、最後の上り坂を上る間もロマンチュクを追い抜くことはできず、ロマンチュクが1:37:24でフィニッシュテープを切り、ライバルのフグはそのわずか1秒後にフィニッシュしました。
ロマンチュクが最も僅差で勝利を掴んだ一方、マニュエラ・シャーは全く違う方法で9大会連続の優勝を収めました。
例年シャーは、ヴェラザノ=ナローズ橋の勾配に苦しみ、タチアナ・マクファーデンのパワーに屈していました。しかし今回、AbbottWMMシリーズチャンピオンであるディフェンディングチャンピオンにそんな問題はありませんでした。
シャーは、3マイル地点を通過する頃には、他の選手から30秒近いリードを奪っていました。
20km地点のボーナスポイントも楽々獲得し、レース後半は、観衆の声援だけをお供に、誰にも邪魔されることなく走り抜けました。
シャーの優勝タイムは1:44:20で、あと2秒で4分差という大差で2位を下し、ニューヨークシティでの3連勝を達成しました。
AbbottWMM大会での連勝がスタートしてから414日が経過した今、シャーが次に目指すのは2020年3月の東京です。
AbbottWMMシリーズの春シーズン幕開けとともに、メジャー大会での10連勝に挑みます。
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Thank you New YorkNew York City, you know how to throw a party. We'll do it all again next year!