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【レポート】車いすマラソンエリートレポート

2024年3月5日

車いすマラソンは午前9時5分、天候は晴れ、気温9.4度、湿度22%という車いすランナーにとってまずまずの気象条件の下、全39選手(男子29、女子10)が東京都庁前を一斉にスタートしました。

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男子は、東京パラリンピック・マラソン7位入賞の鈴木朋樹(トヨタ自動車)が1時間23分05秒で、2020大会以来、2回目の優勝を飾りました。18㎞すぎに並走していたダニエル・ロマンチュク(アメリカ)を振り切って独走状態となってからも好ペースを維持。最後は両手を挙げてフィニッシュテープを切りました。

レース後、鈴木は、昨季のアボットAbbottWMMシリーズ15で2位に入るなど強豪のロマンチュクを相手に、「これだけの走りができたのは(自分を)評価したい。タイムはもう少しいきたかった気持ちはあるが、ペースもそれほど悪くなく、向かい風も考えると、今の時期にしてはよかった」と手応えを口にしました。

鈴木はパリパラリンピック代表選考の目安となる世界ランキングの向上を狙って今レースの目標を「1時間21分台から1時間23分前半」と設定しており、スタートから積極的なレースを展開。ロマンチュクを早めに振り切ろうと序盤の下り坂を利用し、「何度か仕掛けて、ダニエルの体力を削っていくレースをしようと思った。意外と離れず、自分もすごくきつかったが、温存しても仕方ないので全力を出す気持ちで走った。『21分台』という目標があったので、気持ちだけは切らさずに最後まで走り切った」と振り返りました。ただし、「この仕掛けではパリ(パラリンピック)でメダルは取れないので、足りない部分をもっと強化していきたい」と前を見据えました。

2位のロマンチュクは鈴木から5分以上遅れる1時間28分33秒でフィニッシュしました。東京マラソンは冷たい雨が降って苦しんだ2019大会以来2回目の出場で、「東京のコースはコーナーが多く、とてもテクニカルという印象をもったが、今季の初戦としては自分なりにいいスタートが切れた。鈴木選手が非常に素晴らしいレースをしたと思う」とレースを振り返りました。

3位には日本人4人によるラストスパート合戦を制した渡辺勝(TOPPAN)が1時間31分03秒で入りました。

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女子はスタート直後から海外勢3人がトップ集団を形成し、互いに駆け引きしながら三つ巴でレースを進めました。ラストスパート合戦も予想されましたが、残り5㎞をすぎてから前回覇者のマニュエラ・シャー(スイス)がスパートして抜け出し、1時間40分10秒のタイムで2年連続4回目の優勝を果たしました。2位には初出場のイーデン・レインボー・クーパー(イギリス)が1時間40分28秒で、3位には実力者の一人、スザンナ・スカロニ(アメリカ)が1時間41分35秒で入りました。

シャーはレースを振り返り、「風の影響を受けてタイムは出なかったが、快晴で素晴らしい気象条件下でのレースだった。3人でラストスパート勝負になるかと思ったが、(38㎞手前の)折り返し後に追い風を利用して、トップに立ちたいと思って懸命に(競技用車いす)をこいだ。体もまだ動いていたので、狙い通りのレースができた。嬉しい」と笑顔を見せました。

日本勢では土田和歌子(ウィルレイズ)が1時間44分22秒で6位、喜納翼(琉球スポーツサポート)が1時間44分34秒で7位でした。土田は、「久しぶりに世界の強豪たちと42㎞を走れて楽しかったが、スタートから(トップ3人が)見えているのに届かなかったのは今後の課題。まだやるべきことはある」と前を向き、喜納は、「前半はいい感触だったが、後半の持久力に課題が残った。(苦手な)スタートが悪くなかっただけに悔しいが、手応えもあったレースだった。さらに頑張りたい」と力を込めました。

なお、10㎞地点に設定されていた「東京マラソン独自のスプリントタイムボーナス」については、女子は設定タイム(21分48秒)を上回ったスカロニ、シャー、クーパーの3人が賞金(1位~3位)を手にしました。

副島正純車いすレースディレクターは、「鈴木選手が自分のペースで最後までレースをしっかり作った」と評価。「男女ともにタイムはもう少し伸びるかと思ったが、大きな事故もなく終了できてよかった」と総括しました。

  • 東京地下鉄株式会社