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ニューヨークシティで11月6日(日)に再び幕を開けるアボット・ワールドマラソンメジャーズシリーズXにおいて、ディフェンディングチャンピオンがタイトル防衛を目指す
この日曜日に開催されるTCSニューヨークシティマラソンでアボット・ワールドマラソンメジャーズシリーズXが再開されることとなりますが、ディフェンディングチャンピオンのスタンリー・ビウォットとメアリー・ケイタニーがタイトル防衛にかける想いはそれぞれ異なっています。
ビウォットが再び優勝すれば、シリーズXのリーダーボードで2位に浮上し、オリンピックチャンピオンのエリウド・キプチョゲとの差は9ポイントとなります。一方、AbbottWMMの昨シリーズチャンピオンであるケイタニーが優勝すると、女子マラソン選手としては史上2人目(1人目は1980年代のグレテ・ワイツ)の、ニューヨークシティマラソン3連覇を成し遂げることになります。
ビウォットは昨年11月のニューヨークで、ハーフマラソン世界チャンピオンのジェフリー・キプサング・カムウォロレをセントラルパーク内で振り切り、AbbottWMM大会における初優勝を収めました。4月のロンドンマラソンでキプチョゲに次ぐ2位となったビウォットは、シリーズリーダーボードで6位となっていますが、ニューヨークで優勝し25ポイントを獲得すれば、ベルリンマラソン優勝者のケネニサ・ベケレを上回ることができます。ロンドンで樹立したビウォットの自己ベスト、2:03:51は、他の出場予定選手陣の誰よりも1分近く速いタイムですが、ニューヨークのレースは戦略的で巧妙なものとなることが多く、優勝争いはコース終盤のマンハッタンまでもつれこむことが予想されます。
ビウォットにプレッシャーを与える選手陣には、ここ2年のボストンマラソンで1位と2位、そして昨年ニューヨークでは3位となっているエチオピアのレリサ・デシサ、そして、2015年最年少の19歳で世界チャンピオンとなったギルメイ・ゲブレスラシエが含まれます。デシサはシリーズIXで2位タイとなっており、ライバルのビウォット(ケニア)に勝ってニューヨークのタイトルを獲得できれば、現シリーズリーダーボードでも2位に浮上できます。ロンドンとリオオリンピックで4位に終わっているゲブレスラシエは、表彰台を狙います。若きエリトリア選手は、シリーズリーダーボードで現在14位ですが、日曜日に良い結果を出し、トップ5への仲間入りを目指します。
ビウォットと同じケニアのルーカス・ロティッチは、2015ハンブルグマラソンの優勝者です。アメリカ代表として3度のオリンピック出場を果たしているデイゼン・リツェンハインは、母国のファンの期待を背負います。ウガンダのモーゼス・キプシロは世界選手権のトラック競技で何度もメダルを獲得しています。
ケイタニーは、ニューヨーク5区を駆け抜ける有名なコースにおいて、昨年一昨年と2連覇しています。1年前のケイタニーの勝利はシリーズIXにおける彼女の優勝を決定付ける素晴らしいものでしたが、強靭なケニア選手は、シリーズXでもポイント獲得を狙います。34歳のケイタニーは、現在シリーズXの首位となっているジェミマ・スムゴングが優勝したロンドンマラソンでは9位に終わっており、復活の勝利を目指します。
ケイタニーの自己ベスト2:18:37は、女子マラソン史上2番目の速さですが、ニューヨークでは、2時間20分を切る自己ベストを持つエチオピア選手2人との厳しい戦いを強いられることになります。その2人とは、ドバイマラソンで3度優勝、今年のロンドンでは5位となったアセレフェチュ・メルギアと、ニューヨークで2位が2度、ボストンでも2度表彰台に上っているにも関わらず、優勝にまだ手が届かないブズネシュ・ディバです。
他に、今年ボストンで3位となったケニアのジョイス・チェプキルイ、2012年ロンドンオリンピックの10,000m銀メダリスト、サリー・キピエゴも出場します。また、リオで10,000mの米国記録を更新し、United Airlines NYC halfで2度の優勝を収めているモリー・ハドルのマラソンデビューを含め、アメリカのファンにとっても見応え十分なレースになりそうです。
車いすレースも魅力たっぷりです。男子レースは、マルセル・フグ、クート・フェンリー、エルンスト・バンダイク等のビッグネームを含む、シリーズXのリーダーボード上位11位中8選手が出場します。女子は、シリーズリーダーボード上位5選手が全員出場。タチアナ・マクファーデンは、ニューヨークにおける5度目の優勝を狙います。
男子の戦いで最大の注目は、無敗の王者フグに勝てる選手が現れるかどうかです。フグは、先月のシカゴマラソンにおける優勝で、出場全5大会制覇を成し遂げ最高点となる125ポイントを獲得し、シリーズXの優勝を確実なものとしています。
シルバーブレット(銀の弾丸)に挑む中心的選手は、フェンリーとバンダイクとなるでしょう。フェンリーはタイヤの幅ほどの差でシカゴでの優勝を逃しており、パラリンピックでも2位。ニューヨークのコースでは5度の優勝を経験しています。経験豊富なバンダイクは、ニューヨークのディフェンディングチャンピオンであり、今年のボストンではフグと僅差で2位となっています。他にも、パラリンピック銅メダリスト、韓国のキム・ギュデ、日本の西田 宗城、そして、アメリカの3選手、ジョシュア・ジョージ、アーロン・パイク、ジェームズ・センベタ等がポイント獲得を狙います。
女子リーダーボードの方が混戦模様で、シリーズXのレースが残すところ3レースとなった現時点で、首位のマクファーデンと後を追うマニュエラ・シャーの差は18ポイントです。マクファーデンはリオパラリンピックの金メダルこそ逃しましたが、シカゴでは優勝しており、シリーズを通し逆転のチャンスを狙い続けるスイスのライバル選手、シャーとの差を広げたい考えです。
リオでマクファーデンの宿敵となった中国のZou Lihong(鄒 麗紅)、そして、ニューヨークとの相性が良く2度の優勝を経験している同国のアマンダ・マグロリー、東京で9連覇中の土田和歌子の両名も出場し、巧妙な戦いをより一層盛り上げます。
2016年TCSニューヨークシティマラソンは、現地時間11月6日(日)8:30(日本時間6日22:30)にスタートします。
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